2020/08/25 14:36

コットンは果たして本当に山で着られるのか。ベースレイヤーの選択は時に命に関わるため、製品を世に送り出すには大きな責任が伴う。

初めてのテストは、2019年8月初旬、青森の八甲田山。曇り空でジメジメした朝、MT Cotton T-shirtに透湿性の高いウィンドシェルを羽織って登り始めた。途中暑くなってシェルを脱いだが、森林限界を超えると風が強くなり、またウィンドシェルを羽織った。曇りの山にありがちな複雑な天候の中、汗をグングン吸い込んだシャツに汗染みが拡がる。「NEO COOL COTTONを選ぶ理由」で述べたとおり、速乾性とは、汗を生地の中で拡散させて空気に触れる面積を大きくすること。それをまさに実証する拡がりだった。(汗染みを気にされる方は、目立ちにくいNatural Whiteを選んでください。)その日は岩木山もいく予定だったため、山頂でサッと記念撮影をして速攻下山。空が晴れてきてTシャツ1枚で酸ヶ湯温泉で休憩をしていると、Tシャツがみるみる乾いてくるのを実感。まだコットンの速乾性に懐疑的だった自分も驚く早さで乾いていった。

2019年9月中旬、南アルプスの聖岳、上河内岳、茶臼岳へのテント山行。ベースレイヤーにMT Cotton T-shirt、パジャマ兼予備用としてもう一枚Tシャツを持っていった。縦走は3日間、行動着はMT Cotton T-shirtを基本に、肌寒い時はウィンドシェル or レインウェアで全ての行動をカバーできた。レインウェアなど透湿性の低いアウターでレイヤリングしている場合も、しっかり汗を吸い込んでくれるためビッショリ感は気にならず、適度に乾燥していくため放射冷却も起こりにくく汗冷えすることはなかった。晴れた日の登頂後、汗を含んだTシャツは、そよ風に吹かれてあっという間に乾いていく。3日目のTシャツの匂いは皆無であった。

その後、数十回と山行テストを繰り返し速乾性の高さは確信となった。コットンは洗いを繰り返す度に速乾性が向上する特徴がある。使い倒したバスタオルが汗を吸い取り、乾きやすいのが分かり易い例だろう。コロナ渦、残雪期のアルプスでテストはできなかったが、晴天が予測されていれば積極的に着ていこうと思わせる。耐久性は、繰り返し着用しているが首がよれるようなこともなく、独特なハリ感はしっかり保っている。また、胸ポケットがとにかく便利だ。サングラスが落ちない安心感(よっぽど前屈でもしない限り落ちない)、昨今はマスクを入れておくのもいい。

天然素材ゆえに、洗いを繰り返し、紫外線の強い高山帯で着ていると色落ちはしていくが、何度洗っても変わらない化繊ウェアより愛着が湧いてくる。自分の山行の歴史を刻むヴィンテージウェアのように大事に育てていきたい。