2021/09/02 01:25

寒冷期の登山で、ベースレイヤーに化学繊維ではなくウールを着用することは広く一般的だ。昨今、ウールの高い機能性は再注目され、ウール100%の製品のみならず、化学繊維との混合で機能性や耐久性の高さをうたう製品も登場し、その種類は枚挙にいとまがない。そんな中、subtle voiceがなぜウール100%の製品を生み出したのか。

今まで様々なウールのベースレイヤーを着用してきた。薄手のもの、厚手のもの、化学繊維との混合製品など。しかし自分が満足できる製品には出会えなかった。どうしてもチクチクと違和感のあるもの、生地が圧縮されすぎて温かさをあまり感じないもの、厚さはあるが保水しすぎて不快なもの、またタイトフィット系のデザインが多いのも個人的に好みではなかった。もちろん全てのウール製品を試したわけではないが、いつもどこかに不満を感じていた。

そんな中subtle voiceの山でも着られるコットン、NEO COOL COTTONの開発時に出会えたのが今回のウール製品の元となる生地だ。最初に手にした時の驚き、「これはカシミア?」と見紛うほどの優しい風合いのある触感だった。New Zealand産スーパーファインメリノウール100%、ウールでは最高級の生地とされている。もちろんこのスペックの製品は他でも存在するが、今回のウールは数値だけでは表せない滑らかさを感じた。

早速、サンプルを作り様々な山でテストをした。まず、地肌に着ても全くチクチクしない、これは個人差があると思うが今まで着てきたウールの中では抜きん出ていた。また、生地の厚さは150g/㎡で、一般的にオールシーズン着られる薄手の生地だが、弾力性があり、空気の層を感じるような温かみがあった。生地は防縮加工済みのため家庭の洗濯機で洗える。縮みはほとんど感じない。また、何度洗濯しても生地の最大の特長である弾力性が衰えることはなかった。

ロングスリーブTシャツは形にもこだわった。リブ付きの袖口、マスクやサングラスを仕舞える胸ポケット、単体でも着られるシルエットなど、山はもちろん街でも着られるデザインだ。また、この生地でネックラップとビーニーも制作した。ネックラップはベンチレーションという新たな機能を付加、着脱の頻度を減らし、より快適な登山に貢献できる。ビーニーはわずか35g、これまで不思議と存在しなかったUL(ウルトラライト)と呼べるビーニーが実現した。顔まわりにチクチクしない優しい風合いの生地は、最高の着け心地を約束してくれる。
12月の南アルプス、2月の八ヶ岳、4月の谷川岳など様々な条件下でテストを繰り返し改良を重ねて、この着用感、使い勝手の良さに確かな手応えを感じた。直接肌に触れるものは天然素材が気持ちいい。ウールが元来持つ高い機能性と、ギミックの効いたデザインを多くの人に共有したい。