2022/05/27 16:01

テスト期間を含めるとMT Cotton T-shirtを着続けて3年になる。「コットンは果たして本当に山で着られるのか」という問いに対して導かれた答えは「YES」だ。登山で最もコストをかけるべきは、シェルでもなくフリースでもなくベースレイヤーといわれる。肌に一番近いベースレイヤーは体温調整に大きく影響する。MT Cotton T-shirtMt Cotton Tee Poloに使用されるNEO COOL COTTONは高い吸水性により、かいた汗を身体から吸い上げ、コットンとは思えない速乾性で登山での着用を可能にしている。

こんなことがあった。夏の夜、友人たちと高尾山へ出かけた。1号路を1時間くらい、この日は蒸し暑く結構な汗をかいた。現地に着き1時間ほど経過した時、一人の友人が「身体が冷える」と言い出した。夏の高尾山でも夜は空気が涼しくなる。着ていたのはヘビーウェイトのコットンTシャツ、見てみると登りでかいた汗が生地に残ったままで典型的な汗冷えだ。するともう一人の友人も「確かに冷えるね」と言い出した。彼もコットンTシャツを着ていたのでチェックさせてもらう。着ていたのはモード系ブランドのとてもシルキーで高級感のあるTシャツ。しかし、ジワーッと全体的に濡れていて汗を処理しきれていないようだった。「ん、そんなに寒い?」と思った私がこの時着てたのはMT Cotton T-shirt。汗冷えとは無縁、ドライにカラカラに乾いていた。

8月の北アルプス、涸沢からザイテングラートを登っていくと、山頂付近は怪しい雲に覆われている。この日の予定は涸沢-奥穂-吊尾根-前穂-岳沢-上高地。予想通り、奥穂山荘手前から霧雨のような状態になり、山頂へ近づくにつれ風雨は強まる。岳沢へ下るまでレインウェアを脱ぐことはなかった。この時ベースに着用していたのはMt Cotton T-shirt。メリノウールのように汗をジワジワと乾燥させていくため、放射冷却が起きにくく、化学繊維のような急激な体感温度の低下にはならない。北アルプスでも自信を持ってオススメできるベースレイヤーだ。

今回新たに登場したのがMT Cotton Tee Polo。元々スポーツ用の生地として開発された鹿の子素材に、腕を動かしやすくスポーツウェアに広く用いられるラグランスリーブを採用。わずかにポリウレタン(5%)を混合することでストレッチ性も高めたモデルだ。また混合素材は生地の堅牢性にも寄与している。より汗をかきやすい真夏の縦走や、鎖場や梯子など腕を使うキレット越え、クライミングやボルダリングでも重宝する着心地だ。

天然素材ゆえのデメリットもある。それは変色の問題。紫外線の強い高山帯で大量の汗をかくと、天然素材のコットンには厳しい環境だ。ただ変色は、気象条件、個々の汗の成分によっても変化するので一概には語れない。今回の製品はコットンで考え得る最上の方法で耐光性を高めた。デニムやレザーのように経年変化を味わうウェアもある。コットンは洗いを繰り返す度に速乾性が向上する特徴がある。使い込んだバスタオルが汗を吸い取り、乾きやすいのが分かり易い例だろう。何度洗っても変わらない化繊ウェアより自分の山行の歴史を刻むヴィンテージウェアのように大事に育ててもらいたい。

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